国産バナナ農家さんの素顔インタビュー生産農家・高浪さん
やっちろ汐バナナを栽培しているのは、地元八代市で以前から農業を営む高浪さんたち。実はご兄弟で一緒になって育成をされているんです、バナナの育成をするようになったきっかけ無農薬栽培へかけるお二人の熱意をご紹介します。
生産農家・高浪さんご兄弟が
国産バナナの栽培を始めた理由
まず、バナナの栽培に関わるようになった経緯を教えてください。
それまではトマトを中心に栽培していたんですが、コロナ禍になってから、需要が少ない状態で、売り上げが下がってしまいました。240アールほどの面積の土地でトマトを育ててたんですけど、コロナ禍で(技能)実習生も来られなくなって、土地も持て余した状態に。
そんなときに、何年か前から付き合いがあった熊本青果物出荷組合さんから、「バナナを作りたいんですけど、一緒にやりませんか?」という話がありました。
それで兄貴と二人で相談して、他の農家さんの様子も見たりして、「やってみるか」と。
お二人は元々どのようなお仕事をされていたのですか?
私は地元の学校を出てすぐ、実家の農家の手伝いを始めました。18歳からなので、もう30年ほど農家をしています。うちは元々は畳などに使うイグサの農家だったんですが、トマト農家も始めて。トマト・ミニトマトも同時に育てたりしていました。
私は次男なんで、外に仕事に出て。長距離ドライバーとか色々転々として…その後、実家の農家を一緒にやらないかということで。それからもう18年くらいですね。
「熊本でバナナを作る」と聞いたとき、どのように思いましたか?
バナナというと南の作物だろうと思ってたけど、色々調べてもみて。こういうビニールハウスを使うことで越冬ができ、栽培できるんじゃないかと思いました。
このビニールハウスは、元々トマトを作っていたハウスです。経営や土の入れ替え等のノウハウは私にあったので、兄貴が視察や検証をしている間に、バナナを育てるための設備を準備したりしていました。
そういう手分けをしながら進められたことはよかったですね。
実際に熊本で国産バナナを栽培してみて
実際にバナナは育って収穫も始まりましたが、熊本でバナナを育てることに難しさもありましたか。
それはもう、教科書がないことですね。バナナの育て方っていうところでは、どこを探しても教科書がない。
育成環境ということでは、ビニールハウスなので基本的なことは変わらないと思います。温度管理の差はありますが…南の植物だからこれぐらいの設定でセットします、とか。
八代でバナナを育てるという点で、この地域ならではの良いところや苦労はあるのでしょうか。
比較的暖かい地域ではあるので、ハウスだと暑すぎて40度に達するときがあったりなど、暑さの対策が必要だったりはします。九州なので台風は来やすいですね。そういうときはハウスに支柱を入れたりしています。
元々トマト農家だったからこそ、熊本で無農薬のバナナづくりができた。では、その栽培方法などは?
バナナについては手探りの難しさもあるということでしたが、新たな方法を試すうえでこれまでのトマトづくりの経験が活きるようなこともありましたか。
トマトを作ってきたから、その葉の色とか。こういうのは良くない状態だよ、とかいう判断はしやすかったね。カリ欠症状(カリウムが不足し、葉の先が黄色く変色する状態)とかは普通にトマトでもあるんで。
そういう時は肥料を追加するようにしたりとか。対策は色々試したりなんかしましたね。
無農薬で育成されているということですが、害虫駆除の対策はどのようにされているのでしょうか。
まずは虫トリガミの設置です。虫は光に集まるので、夜は捕虫機も活躍します。害虫で何が大変ってハダニ。ハダニが付いた時はイタチごっこで、洗うしかないですね。
農薬は使わないようにしているので、お水でバナナについた虫をジャーって洗うと。あとはひとつひとつ、手作業で取り除いたりですね。バナナの実がなってからは、カバーをかけて虫除けにしています。
虫対策には使っても自然由来の成分。農薬や人の身体に影響があるものは使っていません。自然由来のものだと、使うのは忌避剤くらいですね。「ニーム」とか。インドセダンっていう木があって、その中から成分を抽出して作られる忌避剤があるんです。
虫除けのためにはそういうのを散布してあげて。使ってもそういうのですね。
国産やっちろ汐バナナが
「無農薬栽培」で育つまで
生産の舞台、熊本県八代について
農業に限らず、八代という地域についてもお聞かせください。
まずいいところは、治安がいいこと。それと、空気がすごくいいなって思います。西から海の風が吹くんですけど、なんだか清々しさを感じる。夏でも都会と比べて暑いと思わないねえ。暑いのは暑いけど、過ごしやすい環境なんじゃないかなと思います。
そうですね。八代は極端な災害がないんですよね。それは農業をやっていく上でもありがたいですね。食事でいうと、野菜だとトマトやキャベツが有名ですし、おいしいですね。あとは海沿いだから魚がおいしい。
ここからちょっと足のばしたらおいしい魚が釣れます。一時間圏内で。農業をしながら生活していくうえでも、八代っていうのはちょうどいい場所かもしれない。
手塩にかけた無農薬国産バナナのお味は?
育ってたやっちろ汐バナナを食べてみて、お味や高糖度はいかがでしたか。
普通のバナナとは全く違って、おいしいですね。口当たり、最初の食感が、普通のバナナだと外側がパサってする。それがこのバナナだと、最初からしっとりしている。甘味もねっとり感もあって、いいものができたと思います。
皮ごと食べれるという特徴もあるバナナですが、皮についてもお召し上がりになられましたか。
うちの子どもが大好き。皮ごとガブっと食べる。シャキシャキして美味しいみたいですね。それがやっぱり一番嬉しい。熟成度合いをどこで食べるか、とかも楽しんだりして。皮の他には、花も食べてみました。捨てるんだったらっていうことで、調べたらサラダに使えるみたいで。奥さんに言って、ちょっと料理してみてって。
バナナの実の先から伸びてくるんですよ。その部分を切って、刻んでアク抜きして味付けして。シャキシャキして美味しいですよ。
では最後に…試行錯誤もされながら収穫されたバナナですが、どのような方に食べていただきたい、ということなどあればお聞かせください。
私は、全国の人はもちろんですけど、やっちろで作ってるバナナなので地元の方たちに早く食べていただきたいです。子どもからお年寄りまで。
地元の評価をお聞きしたら、じゃあ味をもっとこうしていこうとか、兄貴と話しながらまたそれに向かって新しい取り組みもできていくんじゃないかなと思います。
私も一緒です。あとはやっぱり子どもが食べてるところ、子どもが喜んでいるところ、それを見たいですね。
他のお父さんたちが自分の子どもにやっちろ汐バナナを買ってあげてそれでその子どもが「おいしいね」って言う時の表情を見てみたいですね。それが今一番の目標ですね。
生産者の方にやっちろ汐バナナの「お味の感想」をInstagramのコメントでお寄せください
以上、熊本県八代で、無農薬でのバナナづくりに挑戦するご兄弟のお話を伺いました。やっちろ汐バナナは非常に手間もかかる栽培方法ですが、育ったバナナをおいしく食べてもらって喜ぶお二人を見て、本当に苦労が報われた様子を感じました。
食べる方の健康のこと、未来の地球環境のことも考えて、ひとつひとつ丁寧につくられたやっちろ汐バナナ。ぜひみなさんもお味を試して、コメントなどをいただけると嬉しいです。(2022/12/19)
国産無農薬やっちろ汐バナナの生産者だより
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